"BOKU"のITな日常

還暦越えの文系システムエンジニアの”BOKU”は新しいことが大好きです。

電子レシートって本当に小売業の淘汰のきっかけになるほどのもんなのだろうか?

今回は電子レシートという取り組みが、旗振り役の経済産業省が言うほど、インパクトのあるものなのか?と、自分は疑念を持っているのです・・という話です。

元々、仕事で小売業につとめてて、レジとかPOSデータとかとかかわっていた時期が長いので非常に興味深い話だな・・とは思うのですけどね。

 

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電子レシートとは

 

まだ実験をしました・・というだけで具体的なことはこれからみたいですが。

www.meti.go.jp

旗振り役の経済産業省のページを見てみると、実験の背景としてこう書いてあります。

各店舗から発行される買物レシートを標準仕様で電子化し、個人に蓄積することで、当該個人が起点となって、様々な店舗から発行される電子レシートを統合管理することが可能となります。 

ようするに、各レジメーカや小売業各社が独自の仕様で蓄積・利用している顧客の購買データフォーマットを標準化する試みみたいです。 

www.meti.go.jp

オープンデータ化まで考えているんですかね。 

なるほどね。 

本当にできたら、確かにインパクトはありますね。

 

日経コンピュータの記事はちょっと盛りすぎ?

 

でも、日経コンピュータのこの記事は、ちょっと盛りすぎじゃないのかな?

r.nikkei.com

ちょっと出だしを引用すると。

経済産業省らが電子レシートの実証実験を都内で公開した。

2018年5月にも電子レシートの標準フォーマットなどの標準化を目指す。

単なる紙の電子化にとどまらず、小売業に破壊と変革を迫る威力を秘める。

 うーーん。

小売業に破壊と変革を迫る威力を秘める・・って、本当かな?

 

確かに情報の共有ができれば凄いことだけど

 

Amazonは言うにおよばず、小売業も情報勝負の様相を呈してきてます。

購買情報を含むありとあらゆる個人情報を集めて、分析して、それをピンポイントのマーケティングに生かして、機会ロスのない効率的な販売だったり、潜在的な欲求を引きずり出して購買衝動につなげようとする試みの進化はとどまるところを知りません。

AI(人工知能)がそれに果たす役割も大きいですし。

こうなると、情報を多く持つ企業が圧倒的な競争力を持つ・・逆に言えば、情報こそが差別化戦略の柱になっているわけです。

そういう状況下で、官僚が「標準フォーマット」を制定したとしても、誰が積極的に使おうとするんでしょうか?と考えると、ちょっと疑問が残ります。

まあ。

そういう情報収集と分析に多大なコストをかけられない中小小売業群が集まって、大きな「購買情報共有体」みたいになって、アマゾンのような大手に立ち向かう武器を得るとか・・そういう部分があれば、アリかもしれないですけど。

 

データだけあっても利用のハードルは高いんだな

 

ただ、上記みたいに中小企業群が集まって・・という話になった時に、もうひとつのハードルが見えてきます。

データの分析をする人材の話です。

POS(Point-of-Sales)データの分析というのは昔から試みられていて、自分も実際にいくつかのプロジェクトを手伝ったことがあります。

まず、データ量が半端ないですから、そう簡単にはいきません。

 自分が経験したのは、全国展開までいってない中堅小売業でした。

それでも単品単位の購買データは1日で70万件~100万件くらい積み上がるわけです。

それを、ある程度の期間蓄積すると、 データベースの1テーブルのレコード数が億のオーダーになったりするので、力技で処理しようとしたら、一生かかっても処理が終わりません(笑)

強力なハードウエアと数学・統計の素養がある分析者で、かつ、大量処理を効率的に行うプログラムを書くことができる能力まで求められます。

物的・人的側面のハードルはかなり高いです。

 

結局大企業だけが得をするになりかねない

 

 問題は。

すべての小売業者が、そのハードルを越えられるとは思えないこと。

仮に顧客購買デーた(電子レシート)が標準化・オープン化されたとして、もし、奇跡的に企業同士がそれに協力したとしても、結局、それを有効に活用できるだけのハードウエア・ソフトウエア基盤を用意できる企業だけが圧倒的な競争力を持ち得る可能性が高いというのは変わりません。

そうするとですね。

そういう人材を抱える余力のある大企業だけが有利になって、中小企業はますます追い詰められるという構図は変わらないどころか・・情報だけ吸い上げられる中小企業は、もっと追い詰められるかもしれないわけです。

 

共通の処理センターまで作らないとね

 

だから。

どうせやるなら業界共通の処理センターを作って、データ分析結果を共有化して公平な競争で業界全体の底上げをはかり、オールジャパンでアマゾンとかに対抗しうるようなものを作るとか。

それくらいまで、考慮にいれないと・・、たぶん電子レシートはお蔵入りです。

それにねえ。

 旗振り役が経済産業省ですからね。

 第5世代コンピュータプロジェクトの悪夢が頭をよぎります。

第五世代コンピュータ - Wikipedia

申し訳ないですけど。

自分には、「日本の官僚主導のこういうプロジェクトって金だけ湯水のように使って、長い期間をかけて、知らない間にフェイドアウトして責任の所在も何もうやむやになって終わる。」ものが多すぎるように見えてます。

電子レシートも、現時点の情報だと、自分にはその仲間にしか見えません。

今のところ、期待度 30%くらいかな・・。

これでもかなり期待度を盛ってますけどね。

ではでは。