自分は「面白い小説」が好きです。
なので、周期的に読書どハマり月間みたいなものがやってきます。
今年は、5月頭にスイッチがはいって6月頭まで、どっぷりハマってました。
その間、約一月間。
ブログの更新はおろか、プログラミングも一切せず、ひたすら本を読みまくりです。
ざっと、30冊くらいは読んだ感じです。
今回は、高野和明さん、恩田陸さん、荻原浩さん、有川浩さん、伊坂幸太郎さん・・などなど、昔から好きな作家の作品を再読して、一度目では味わいきれなかった作家の技術力の高さを楽しませてもらいました。
この人達は、こんなに面白い小説を、なんで書けるんでしょう。
不思議です。
自分も若い頃、一応小説家を目指して何本か書こうとしたことはありますから。
その時は、頭の中ではストーリーやシーンが見えているのに、文章にしようとすると固まってしまって、一行も書けなかったり、書けても読み直すと、まったく表現できてなくて愕然としたり・・・七転八倒したあげく、途中で筆を折ってしまったという苦い思い出で終わってしまったんですよね。
でも、今回、ふと思ったわけです。
ひょっとして「面白い小説」にはなんらかの型みたいなものがあって、システム開発と同じように「仕様書」とか「設計書」みたいに書けたりするんじゃないだろうか?と。
工学的ストーリー創作
そんなことを思いながら紀伊国屋書店で3時間くらい本をあさっていると、まさにピンポイントの本との出会いがありました。

工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素
- 作者: ラリー・ブルックス,シカ・マッケンジー
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2018/04/26
- メディア: 単行本
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「書けないのは才能のせいではない!」なんて、しびれますね。
この本によるとですね。
ストーリー作りの要点は以下の6つのコア要素にすべて含まれます。
- コンセプト
- 人物
- テーマ
- 構成
- シーンの展開
- 文体
最初の4つは「ストーリーの成分」で、後の2つが「実践」です。
特に興味深いのが「構成」の部分です。
作品全体を大きなブロックに分けて考えるのです。
例えば。
- 状況説明・登場人物紹介(パート1)
- 敵の出現・危機のはじまり(プロットポイント1)
- 主人公の葛藤(パート2)
- 何かに気づき流れが変わる(ミッドポイント)
- 主人公の反撃・敵も反撃(パート3)
- パズルの最後のピースが示される(プロットポイント2)
- 解決・エンディング
みたいな感じで。
それでプロットポイント1は、だいたい全体の20%から25%のページ数が進んだところに持ってきて、ミッドポイントは約50%、プロットポイント2はだいたい75%あたりに配置するみたいな、超左脳的考え方でストーリーを組み立てるんです。
これは正直、目からウロコでした。
「小説の設計書けるじゃねーか!」と叫んでしまいましたよ。
思わず。
実際の小説にあてはめてみた
こうなると、自分が読んでいる小説も、このパターンに当てはまるのかな?という疑問は当然おこります。
なので、EXCELシートに上記の構成のブロックを書き、その中をさらに3つくらいにわけた表を作って、小説を分析してみたのですね。
シーン毎の概要と開始ページ・終了ページを書き起こして、それが上記構成のどれにあたるかをマッピングしてみる方法で。
そうすると。
おおよそは、上記(セオリーって言うのかな)に近い構成になっていて、ただ、作品によって、ちょっとひねりが入れられてたりするのがよくわかります。
例えば、高野和明さんの「13階段」だと、ミッドポイントくらいまでは、ほぼ上記のセオリーに近く、後半部分にさらにひねりがはいって、プロットポイントが2つ・3つ挟まれているみたいに見えたりとか・・・ですね。
最近は、これをひたすらやってます。
いやあ、面白いです。
小説も、今パート2のあたりだとか、これがプロットポイントだなとか頭の中で分析しながら読むと、また違った見え方をするし、文体だけでない、構成のこだわりとか工夫の部分を発見したりして、倍楽しめます。
おかげで、いまだに。
「文学はシステムだ!」
などど、妙なテンションのまま、とまりません(笑)
もうしばらく「読書どハマり月間」は続きそうです。