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料理の味付けに関するロジカルなアプローチを整理してみた
今回は料理がテーマです。
料理の味付けって、結構ロジカルなアプローチが可能です。
僕みたいな「左脳派」にとって、とっつきやすい「アプローチ」について、軽く整理してみたいと思います。
味覚を数値化しようというアプローチ
味覚は数値化できる時代です。
味覚を数値化する機器「味覚センサー」がありますので。
味覚センサーはいろいろなメーカーが販売してます。
僕の知っているのはこれです。
数値化ができるということは、計算ができます。
つまり、素材や調味料の組み合わせを計算して適合度・・ようするに「おいしさ」・・を数学的に計算できるわけです。
味付け数値化アプローチ:黄金比
おいしさを計算するネタで有名なのは「味付けの黄金比計算」です。
どういうことかというと。
味の分類に「基本の五味」というものがあります。
以下がその五味です。
- 甘味
- 塩味
- 酸味
- 苦味
- うま味
辛味や渋みは五味に含まれてません。
この五味のうち、3つを同じ強さになるように合わせる。
つまり「1:1:1」の比率に近づくように、味覚の数値を調整するわけです。
こうすると、食べた人がうまいと強く感じるようになる。
これが、味の黄金比の理屈です。
この3つというのがポイントで、5つの味全部がバランスしてしまうと、何の特徴もない味になってしまうらしいのですね。
この黄金比計算の例として、AISSY株式会社の味覚センサーの紹介記事には、相性度の計算事例がのってるのですが。
ごはんと焼肉+たれを足し合わせると、「うま味」「甘み」「塩味」の3つが同じくらいのバランスになりますよ・・となってます。
ごはん+焼肉+たれ・・。
うまいに決まってます。
でも、それが計算した数値ででてきているというのがポイントです。
こんな感じで調味料のバランスを求めたのが「黄金比」です。
本当は自分で計算してみたいのですが、さすがに・・個人のお遊びで味覚センサーを購入したりすると、奥さんに叱られます(笑)。
とりあえずネットで黄金比を調べました。
探してみると、味の黄金比率を紹介しているページはたくさんあります。
メモしているものを羅列してみるだけでも。
- 餃子のタレ:「醤油5: 酢:4 ラー油:1」
- 和風の基本:「しょうゆ1:みりん1:酒1」
- 照り焼きたれ:「しょうゆ2:みりん2:酒2:砂糖1」
- みそ炒めたれ:「みそ2:酒2:砂糖1」
- オースター炒めたれ:「オイスターソース1:しょうゆ1:酒1」
- きんぴらたれ」「しょうゆ1:砂糖1:酒1」
- 胡麻和え衣:「しょうゆ1:砂糖1:水1:ゴマ3」
- うどん・そば出汁:「出汁12:しょうゆ1:みりん1」
- 南蛮漬け汁:「しょうゆ2:砂糖2:酢4:水13:唐辛子1本」
- 中華だれ:「しょうゆ3:ごま油2:酢2:砂糖1:にんにく・とうがらし」
- 煮物出汁:「出汁10:しょうゆ1:みりん1」
- 丼たれ:「出汁4:しょうゆ1:みりん1」
- 寄せ鍋・おでん出汁:「出汁20:しょうゆ1:みりん1」
- すし酢:「酢4:砂糖3:塩1」
- すき焼きたれ:「酒 1:みりん 2:しょうゆ 3:砂糖 3」
てな感じであります。
なんですが。
実際に試してみた限りでは、人間の味覚というものの面白さで味に関して言えば「黄金比=絶対の正解」とはなりえないみたいでした。
冷静に考えれば、しょうゆ・酢・みそなどの調味料もメーカーによって味が違うわけですから比率だけあわせた味が一定でないのは当然ですし、人によって「おいしい」と思う基準も違いますから、当然ではあります。
僕自身、他の人より、たぶん「薄味好みで、酸味は強めが好き」だったりします。
例えば、僕が作る場合の、実際の比率をいくつか書いておくと。
- 南蛮漬け汁:「出汁5:しょうゆ1:みりん1:砂糖1:酢3」。
- 煮物出汁:「出汁10:しょうゆ1:酒1:砂糖1:みりん1」
- 魚の煮物:「水13:酒13:しょうゆ2:砂糖1:みりん3」
- きんぴら:「酒1:しょうゆ1:砂糖1:みりん1」
- 餃子のたれ:「酢のみ」
てな感じで、前に書いた一般的な黄金比とはかなり違います。
現実的には、調べた黄金比は参考程度に考えるのがよさそうです。
うま味の組み合わせの相乗効果アプローチ
料理のロジカルな要素は黄金比以外にもあります。
五味の構成要素のひとつ「うま味」なんかがそうです。
出汁の基本になるうま味成分には4種類あります。
面白いのは、それらを組み合わせることで、うま味が増すという足し算要素をもっていることです。
その4種類というのが。
グルタミン酸は「アミノ酸系」、イノシン酸とグアニル酸は「核酸系」でもあります。
単体でもうまみがあるのですけど、「核酸系とアミノ酸系のうまみ成分をあわせると、相乗効果でうまみが増す」なんて法則性もあって、いろいろなうま味成分を足し合わせて、コクをだしたりとか、これもとても面白いです。
食材別のうまみ情報を提供してくれるページもあります。
こういうのを見ながら、どう組み合わせると「美味い出汁」になるのかを考えるのは結構面白かったりするんです。
分子の大きさ等にもに着目する味付けの順番アプローチ
味付けの順番で、さしすせその順番で味付けしなさいとよく言われます。
- さ:砂糖:甘味
- し:塩:塩味
- す:酢:酸味
- せ:しょうゆ:塩味・うまみ
- そ:味噌:塩味:うまみ
これにもしっかり理屈がついてきます。
ここで着目されているのは各調味料の分子の大きさです。
味をきっちりしみこませようと思ったら、分子の大きいもの加えていかないと、分子の小さいものに邪魔されて味が染みにくくなる・・という理屈です。
その観点で、分子量をみてみると「食塩」が58.5に対して、砂糖は「342」です。
ここについてはなるほどです。
でも、分子量だけからいえば、酢は「60」で、食塩より大きいのです。
だから、酢が先じゃないのかと思ったりしたのですけど、今度は、ここに「風味」という要素がはいってきます。
酢・しょうゆ・味噌とかは、長時間加熱すると風味が飛ぶので最後のほうに加えないといけないという理屈です。
実際の味付けには「酒」「みりん」も使います。
なのに、上記「さしすせそ」にはいっていません。
酒とみりんは「さしすせそ」の各調味料と役割が違うからです。
みりんは、味をまろやかにして味のカドをとる役割をします。
酒はアルコールの浸透性を利用して、味をしみこみやすくしたり、材料の臭みを消したり、肉をやわらかくします。
これをふまえて、「砂糖」「酒」「みりん」を最初にいれる。
味付けの「塩」「酢」「しょうゆ」「味噌」は、できるだけ仕上げに近いタイミングでいれる・・って感じを気をつけるという法則が決まっていくわけです。
とりあえず、こんなところです。
ではでは。