アラカン"BOKU"のITな日常

文系システムエンジニアの”BOKU”が勉強したこと、経験したこと、日々思うことを書いてます。

データドリブンで確かめる:高齢者になると交通事故の発生率が高くなるって本当かな?

高齢者が運転する交通事故のニュースを見てると、「高齢者は能力が落ちてくるんんだから、運転すると事故をおこしやすくなるんだよ」というメッセージをグイグイ押し付けてくる気がします。

だからでしょう。

周囲の人間も「高齢者が運転すると危険だ!」と言います。

そうなる前に「年寄は免許証を返納するべきだ」とか、さも当たり前のように。

本当にそうなんですかね?

自分には疑問です。

だって。

すべて「印象」だけで、具体的なデータとして示されているわけではないですから。

自分はそういう印象をあまり信用しません。

マスコミは時々「恣意的に都合のよい印象を作ろうとすることがあるので注意が必要だ」とかも思ってたりします。

じゃあ、確かめてみよう。

データドリブンで。

それが今回のテーマです。

 

65歳以上とそれ未満でわけて考えてみよう

 

まず、シンプルに交通事故の発生状況と人口の推移を見てみます。

毎年、2月頃に前年度までの年間の発生状況をまとめて更新されるのですが、現時点では2017年までの統計が最新みたいなので、それを見ます。

www.e-stat.go.jp

人口データはこちら。

でも、現時点では推移データに2017年がないので、2017年だけは単年のデータを付け足さないとダメでしたけど。

www.e-stat.go.jp

まず、単純に2007年から2017年の10年間の事故件数の推移です。

f:id:arakan_no_boku:20190112114118j:plain

おお!。

64歳以下の事故件数の減り方が凄い!

対して、65歳以上はほぼ横這いに見えます。

2017年の件数が2007年の何パーセントくらいなのかを計算してみると。

  • 64歳未満:約51.4% ・・約半減。
  • 65歳以上:約92.3% ・・微減

なるほど、高齢者の事故が目立って見える理由はこれかあ。

でも、人口の増減もあるから、単純に事故件数だけで判断するのは危険です。

同じ基準で、人口の推移を見てみます。

f:id:arakan_no_boku:20190112114856j:plain

64歳以下人口は減っていて、65歳以上人口は増えてます。

2017年人口が2007年人口とくらべてどのくらいか?を見ると、やはり65歳以上人口は大幅に増えてます。

64歳以下:91.2% -- 微減

65歳以上:127.9% - 大幅増ではある。 

ふむふむ。

とりあえず、ざっくりと見る限りはメディアから受ける印象に近いな。

 

 よく考えてみれば、人口1万人あたりの方が重要だ

 

でも、よくよく考えてみれば。

高齢者になれば危ない・・というからには、例えば同じ人口なら高齢者の方がよく事故をおこすということですよね。

それを確認するために、人口1万人当たりで何件の事故がおきているか?を見ます。

f:id:arakan_no_boku:20190112131002j:plain

あれ?

64歳以下の方が圧倒的に事故を起こしてるじゃないか?

2007年だと、64歳以下 68.2件、65歳以上 37.5件と倍近い差があります。

まあ、そこから10年で64歳以下は2007年の約56.3%に減っていて、65歳以上も2007年の約72%に減ってはいますが、減少率が違うので差は縮まってはいますが・・。

64歳以下には免許を持てない15歳以下の人口もはいっているので、65歳以上よりも1万人当たりの事故数では有利なはずです。

うーん。

こうみると「高齢者の方が事故をおこる確率が低い=安全」じゃないですか。

ただ、免許の返納とかもあるし、65歳以上は運転する人間が少ないのではないか?

だから、こんな結果になるのではないか?

という疑問もでてきます。

 

免許保有者1万人当たりの事故数を見てみよう

 

じゃあ。

運転免許保有者1万人当たりの事故数を見てみます。

同じように、65歳以上と64歳以下でわけてみると。

f:id:arakan_no_boku:20190112141008j:plain

おやおや。

64歳以下の方が多い傾向は変わらないですが、ほぼほぼそろいました。

運転免許保有者1万人当たりでの比較なので、これが実態でしょうね。

こうやって見る限り、65歳以上の運転者が64歳以下の運転者より事故を起こしやすいというニュースから受けている「印象」は間違いですね。

間違いなく。

ちなみに。

もう少し細かくみると、64歳以下の事故が多い理由もわかります。

年代をもう少し細かくして10代、20代・・等10才きざみにしてみました。

すると。

40代・50代・60代が少なく、そこから年齢があがっても下がっても事故発生率はあがります。

でも、突出して高いのが10代で、あと20代、80代以上と続きます。

f:id:arakan_no_boku:20190112155506j:plain

結局、この10代の事故件数の多さが64歳以下の件数を増加させていた「異常値」になっていたみたいです。

グラフだと見づらいので、これだけ表ものせときます。

年代別免許保有者1万人当たり事故発生件数の推移
  2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017  
10代 272.1 250.6 243.7 238.1 229.6 227.2 218.9 205.7 188.9 182.2 165  
20代 140.3 127.5 125.1 124.1 119.6 118.7 112.9 103.5 98 91.1 83.9  
30代 89.4 81.9 78.6 78 74.8 72.7 68.6 62.3 58.6 54.7 51.4  
40代 81 75 72.7 72.8 69.1 66.1 62.9 57.8 53.8 49.9 47.5  
50代 86.9 78.9 74.6 72.4 68.3 64.4 60 54.1 50.7 47.4 44.9  
60代 87.3 80.4 76.7 75.6 71.5 66.2 62.3 55.8 51.7 48.5 47  
70代 97 91.4 89.6 86.3 81 76.8 72.1 66.3 63 57.3 54  
80代以上 108.5 102.3 104 99.7 98.9 92.5 86.9 82.7 77.6 71.4 67.1  

まあ、こうやってみる限り、70代・80代以上になると60代のときより、1万人当たりの事故発生件数が増加するのは確かです。

でも、30代と70代はほぼ同じ。20代と80代以上なら20代のほうがかなり多い。

この数字を見ているかぎり、「高齢者だから危ない!」とは言い切れないです。

もちろん、高齢者って個人差が大きいので、判断能力が衰えて危険な運転者になってしまう人間がいるとは思います。

でもそれは、20代・30代に無茶な運転をする危険な運転者がいる・・ってのと、同じく個人の問題なんじゃないでしょうかね。

 

高齢者だけを目の敵にするのはやりすぎです


もちろん、上記の結果は関係者の努力のたまものです。

高齢者は個人差が大きいですしね。

だから、自分の能力に自信のなくなってきた人が「免許返納」をすることで、潜在的に事故の可能性を減少させているという事実も当然あります。

実際、2017年の「65歳以上の申請による免許取り消し=免許返納」は約42万人もあります。

2008年当時からみると実に約15倍近くです。

これは、地道なキャンペーンの成果といえるでしょうし、それがなかったら保有者1万人あたりの事故数が80代以上と20代はもう少し近い数字になっていたかもしれないな・・・と自分は個人的に思ってます。

だから。

その免許返納の推進のため、メディアが一役かっているというのもあるわけで、いたずらに「高齢者だけを悪者にしやがって・・」などと文句をつける気もありません。

それに加齢によって、危険なレベルまで運転能力がおちているのに自覚していない高齢者がいる可能性も否定はしないので、ある年齢以上になったら免許更新の間隔を短くして、更新時に試験場での実技試験を課すとかしてもよいだろうと、個人的に思います。

ただ・・。

10代・20代の事故率に目をつぶって、高齢者だけを目の敵にするのは、ちょっとメディアも印象操作をやりすぎですね。

データを見る限り。

うん。