SE_BOKUのまとめノート的ブログ

SE_BOKUが知ってること・勉強したこと・考えたことetc

マンションの寿命とは具体的にどういうことを意味するのか整理してみた

f:id:arakan_no_boku:20200209003709p:plain

目次

マンションの寿命とは具体的にどういうことを意味するのか整理してみた

住んでるマンションが築30年・40年になってくると「マンションの寿命」というものが気になりはじめます。

でも、人に話をきいても、みんな違うことをいい、どれが正しいかよくわかりません。

仕方ないので、自分で調べて整理してみることにしました。

 

マンションの寿命を人間に当てはめてみる

わかりやすいように、マンションの寿命を人間に当てはめてみます。

人間の場合は、病気とか老化とかいろいろ原因があるにせよ

  • 骨格・筋肉がボロボロになる
  • 血管がボロボロになる
  • 重要な臓器(内臓)がボロボロになる

ことによって、生命維持ができなくなる=寿命です。

それをマンションにあてはめると

  • 骨格・筋肉=建物
  • 血管=配管
  • 内臓 =(重要)設備

ということにになります。

以下のような表にしてみたときの左側の3つです。

f:id:arakan_no_boku:20200321143344p:plain

そして、その寿命イメージは、こんな感じです。

f:id:arakan_no_boku:20200321143501p:plain

でも。

人間とマンションで大きく違うのは、古くなったら新しいものに交換するという手がつかえるものがあることなので、そうとらえると、設備というのは「寿命」への影響は小さくて、やっぱり、「建物」と「配管」・・この2つが大きいです。

 

人間の骨格・筋肉にあたる「建物」の寿命

マンションはおおむね、鉄筋コンクリート(RC造)または、鉄筋鉄骨コンクリートSRC造)です。 

だから寿命がくる・・とは

  • コンクリートが劣化する
  • 鉄筋・鉄骨が錆びて強度がおちる

ということです。

じゃあ、コンクリートが劣化するとはどういうことかです。

調べると、コンクリートの劣化とは「中性化」することとありました。

コンクリートは、セメントを水でこねて作ります。

その際にセメント内に含まれる鉱物が水と反応(水和反応)して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が生成されるので、はpH12~13位の強アルカリ性になります。

pH12~13ってのは洗剤クラスです。

このアルカリ性のコンクリート内に鉄筋が埋まると、鉄筋の 表面に薄い皮膜(不動態被膜)を生成して、この被膜が鉄筋を腐食から守ってくれる・・という理屈です。

つまり、コンクリートアルカリ性を保つ限り、鉄骨・鉄筋は錆びないのです。

逆にいえば、コンクリートアルカリ性を失う=中性化すると、防錆機能を失って鉄筋・鉄骨がさびて強度を失い「建物」は寿命を迎えるということです。

 

建物の寿命原因:コンクリートの中性化

じゃあ、コンクリートの中性化がなぜ発生するかです。

コンクリートが空気に触れると二酸化炭素水酸化カルシウムが反応して、炭酸カルシウムが生成される過程でアルカリ性が弱まり、中性化が進みます。。

コンクリート自体は中性化しても強度に影響ありません。

鉄筋を守る被膜が壊れるので、鉄筋の腐食が進むという1点が問題です。

これがどのくらいのスピードで進むのか?。。なんですが。

ひび割れとかが無い限り、コンクリートの中性化は表面からじわじわ進むので、鉄筋の埋まっている深さにどれくらいの年数で達するかが、ひとつの目安みたいです。

その計算式は

f:id:arakan_no_boku:20200211111506p:plain

ということです。

ある建物(築29年9階建て)の計算例をみると、寿命と判断できる深さまで中性化がすすむのに約160年となってました。

ちなみに中性化速度係数の資料はこちらです。

なるほど。

コンクリートの中性化速度だけに着目するなら、普通にメンテナンスされていれば、マンションでも100年とか150年とか、この観点だけから見るともつ可能性もあるということなのですね。

 

コンクリートの中性化を遅らせる対策:外壁・塗装・防水

コンクリートが空気に触れると中性化が進む・・わけなので、長生きさせようと思ったら、いかに空気にふれさせないかを考えないといけません。

だから重要になってくるのが

  • 外壁
  • 塗装
  • 防水
  • シーリング

などの、コンクリートが空気に触れたり、ひび割れしないように守る部分となります。

ちなみに、 シーリングは、建物にある隙間を埋めているゴム状のあれ・・です。

ということで。

耐用年数を調べてみます。

良い感じのサイトがありました。

gaiheki-concierge.com

ざっくりおススメのあたりを引用すると。

  • 外壁塗料:8年~15年
  • 外壁材:40年位ー10年周期位でメンテナンス
  • シーリング:5年~10年
  • 防水工事:10年~12年
  • 屋根材:20年~30年

です。

実際のところ、外壁材なんかでも10年もすると、こまかいヒビ(ヘアークラックとかいうらしいです)が、ちょこちょこ入るのはしょうがなくて、その辺をきっちりシーリング(コーキングとも言う)で埋めていくとか、そういうメンテナンスをいかにこまめにやるかというのが重要みたいです。

逆に言えば。

そのへんをきちんと計画的にやっているマンションであれば、建物部分は100年位大丈夫じゃないかと思えるってことですね。

 

人間の血管にあたる「配管」の寿命

人間の血管・神経にあたる部分が、マンションの「配管」とかです。

マンションの配管部分には

  • 給水関連:給水管・給湯管
  • 排水関連:雑排水管・汚水管
  • ガス管

があって、うち「給湯管」のみが専有部分で、他が共有部分です。

この辺の配管部の耐用年数は材質によってもまちまちです。

かつ、調べるサイトによってもバラつきがあります。

でも。

この配管部分がボロボロになってしまうと、骨格だけが健全でも住める状態ではなくなりますし、コンクリートに埋まっていて簡単に交換できないとかもあるようなので、ここは、寿命を決める「もうひとつのポイント」になります。

じゃあ。

配管部分の寿命ってどうなのよ?

という話です。

業者さんとかの資料を見ると、だいたい、15年~30年って感じで書いてあります。

対処の仕方にも更新工事と更生工事ってのがあります。

更生工事は古い菅を取り換えず樹脂でコーティングするなどして延命させる方法。

更新工事は古い菅を新品に取り換える方法です。

最近は、古いパイプの中に新しいパイプを形成するような「再生」なんて手法もあるみたいですが、ここでは「更生」と「更新」に絞ってすすめます。

業者さんのページに書かれている一般論としては、

  • 更新工事の耐用年数は30年。
  • 更生工事の耐用年数は15年。

です。

ただ、厚生労働省がだしている「実使用年数に基づく更新基準の設定例」という資料の法定耐用年数と実使用年数の設定例の表を見ると、実使用年数ベースだと50年とか60年とかの設定案が書かれています。

f:id:arakan_no_boku:20200211183733p:plain

ということで。

配管部分についても、最悪でも50年目くらいには更新することを計画的にできるかどうかが問題で、そこがちゃんとやれれば、建物同様に100年位は大丈夫と言えるみたいに思えます。

 

人間の内臓にあたる「(重要)設備」の寿命

有難いことに、マンションの設備は古くなったら新品に交換できるわけです。

かつ、建物や配管に比べると、その難易度も下がります。

とはいえ。

エレベータとか受水槽とかは、数千万円単位のお金がかかりますから、必要な資金を計画的に積み立てているかどうか?がポイントになります。

対象は、エレベータとか貯水槽とか給水ポンプとか電気設備・ガス設備など諸々です。

これらの耐用年数ですが。

設備の種類や製造メーカーによってとか違いはあるのでしょうが、一般論的にはやっぱり15年~20年位を目安に補修するなり買い替えるなり検討が必要っぽいです。

マンションNPOの記事にこんな表がありました。

f:id:arakan_no_boku:20200211184841p:plain

なるほどなるほど・・ではあります。

これは資金繰り計画命ですね。

でも。

マンションの管理組合がちゃんと機能していて、修繕積立金が適切な額であれば、こちらは更新していくことで、やっぱり100年は持たせられそうです、

 

マンションの平均寿命は築68年?というのは過去の話

巷には、マンションの寿命を60年とか70年くらいという人が結構います。

本とかインターネットで調べてもでてきます。

でも、どうもこの話には裏がありそうです。

マンションの建築された時期や、良心的な業者が建てたかどうか?

これに大きく依存するようです。

実際に、その寿命に近い年数で建て替え・取り壊しされたマンションの理由を調べると、以下の4つほどに集約されるのですね。

  • 工事ミスや地震等の災害で土台が傾いたりしていて他に選択肢がない
  • 旧耐震基準で建てられてる等地震などに対する安全性を担保するため
  • 配管・給水設備などの劣化に伴う修繕費用が高額になり建て替えがベターと選択
  • 免振化などマンション自体の価値を向上させる前向きな建て替え

どうも、どの理由も「寿命」って感じではありません。

上記には1960年代から70年代に建てられた「欠陥マンション」や「低品質マンション」などの品質の悪いマンションの事例が多く含まれているからです。

例えば。

川砂が足らなくて塩分を含んだ砂を使ったりしたので鉄部分が錆びるとか。

だから、築30年位で劣化してしまうみたいなことも話題になりました。。

だから、1981年の新耐震基準後に建築された「まっとうなマンション」にはあてはまりませんし、81年以降に建てられたマンションは、まだ、そこまでの年数がたっていませんから、参考になる前例はない・・と考えたほうがよさそうです。

 

修繕・更新を計画的にすればマンションは意外に長生きみたいだ

こうやって調べると。

修繕・更新をきちんとやれば、マンション自体は100年大丈夫そうです。

1980年以前の旧耐震基準で建てられて、かつ、修繕も計画的に施されてこなかったマンションですら、2013年時点の調査で平均寿命68年だったということのはポジティブな情報ともいえますし、心配しすぎなくてもいいのかな?・・とは思えます。

もちろん。

耐震性能を超えるような大地震・・阪神大震災大阪北部地震を上回るような・・がきて、つぶれなければですけど。

まあ。

ちょっとは安心できそうです。

ではでは。